秦は、魏・著雍へ侵出。中原への道をつくれ = キングダム36~37「魏・著雍攻略編」

2021年9月22日水曜日

キングダム

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 中国の春秋戦国時代の末期、戦国七雄と呼ばれる七カ国同士の攻防が続く中、中華統一を目指す秦王「嬴政」と、戦争孤児の下僕から、天下一の大将軍を目指す「信」が、ともにその夢の実現を目指していく歴史大スペクタクル「キングダム」シリーズ36弾~第37弾を総解説します。


前巻で、王弟・成蟜を利用した屯留での反乱を鎮圧し、秦国分裂の危機を脱した余勢をかって、中原へ侵攻する道となる魏の著雍への侵攻を開始します。迎え撃つのは、稀代の名軍師・呉鳳明と、彼が獄から出して、配下に加えた「「火龍七師」のうちの三人。これに、信、王賁という秦のホープが挑みます。


あらすじと注目ポイント>秦は、魏・著雍へ侵出。中原への道をつくれ


第35巻(続き) 騰、王賁、信は、魏の「著雍」へ攻め入る


35巻の後半からこの『魏「著雍」攻略編』は始まります。


秦は山陽地方を手に入れて中原への進出路を確保したのですが、魏はそれ以上の進出を阻むため、この「著雍」の防衛を強化したため、秦にとってはこの地が次の攻略地点となり、「騰」を大将に据えて侵攻を開始。これに対し、魏は呉鳳明に防衛軍を任せ、山や川といった地形に合わせて軍を展開し、それぞれが互いにかばい合い、中央からも全方位に援軍を出せる、野戦上で「要塞」のような布陣を敷いています。


さらに、戦国四君の信陵君の兄で、先代の王・安釐王(あんきおう)の時代に秦の六将、趙の三大天と並ぶ強さを見せた魏の”火龍七師”の三人の生き残り

父、呉慶も恐れていた冷酷無慈悲な軍略家「霊凰」

あげた武将の首は百といわれる剛将「凱孟」

魏国史最強の槍使い「紫伯」

が、呉鳳明によって戒めを解かれて参陣しています。


この鉄壁と見える魏の布陣に対し、王賁は、そのわずかな三点の隙を、録鳴未軍、玊鳳隊、飛信隊の三隊で同時に突いて撃破し、三日目の正午に同時に魏軍本陣へ突入する、という作戦を立てます。


第36巻 河了貂、捕虜になる


第36巻の構成は


第383話 呼びかけ

第384話 一騎討ちの裏

第385話 仲間割れ

第386話 貂の存在

第387話 交換

第388話 新生玊鳳隊

第389話 紫伯の名

第390話 同士討ちの過去

第391話 喪失

第392話 中華の注目

第393話 著雍三日目


となっていて、まず信の飛信隊が、魏の”火龍七師”の一人「凱孟」軍と対陣します。


この二人の戦いがなかなか決着がつかないのですが、ここで、飛信隊の軍師・河了貂が、「凱孟」軍の軍師・荀草に捕まって魏陣へと連行されてしまいます。途中でそれに気づいた羌瘣が追ったのですが追いつくことが出来ず、代わりに荀草を捕獲することだけは成功します。


魏陣に捕らわれた河了貂の運命は・・・という展開です。ネタバレをしておくと、捕縛した魏の軍師・荀草との人質交換で無事に河了貂は帰ってくるのですが、信と貂のそれぞれへの「思い」が語られますので、そこはお見逃しなく。


一方、王賁率いる「玊鳳隊」の相手をするのは、槍の「紫伯」です。戦車隊の急襲を皮切りに玊鳳隊をひきつけ、包囲網をしこうとする魏軍に対し、王賁は敵将・紫伯に向けて突撃し、槍を使う二人の激闘が始まります。


そして、魏の”火龍七師”が同士討ちをして壊滅していった過去が描かれ、紫伯が感情を失った武将となった理由もあわせてわかるのですが、紫伯の槍の技に王賁が押され気味ですね。


第37巻 王賁と羌瘣の突撃によって、呉鳳明の魏本軍敗北。


第37巻の構成は


第394話 見物

第395話 王賁の責務

第396話 修練の日々

第397話 本陣へ

第398話 戦わぬ訳

第399話 肉迫す

第400話 陥落と退避

第401話 これからの戦国

第402話 咸陽の動き

第403話 大后の狙い

第404話 呂氏春秋


となっていて、いよいよ「著雍」の戦いは、王賁が魏軍本陣への同時突入を約束した三日目に入りました。


王賁軍は一番余力の残っている関常軍を正面中央の主攻に据え、お羽毛はその背後に位置して紫伯が現れるのを待つ布陣を敷きます。


関常軍に押され気味となる魏軍を支えるため、紫伯が登場。いよいよ王賁との激突です。中華一といわれる紫伯の槍に王賁は最初、守勢にまわりますが、徐々に、紫伯の槍筋を「型」で捕らえ始めます。そして、恋人が死んでから死地を求めてきた紫伯に対し、「紫伯を討ち、著雍を奪取し、その先の大いなる勝利を手にし続け、中華に名を刻む大将軍」となることが「王家の正統な後継ぎ」としての


と心に刻んでいる王賁の勝利にへの執念が勝ることとなります。

(王賁が「王家の正統な手続き」にこだわるわけは後巻ででてくるのでそこまで待ってくださいね。)


一方、信のほうは荀草は、凱孟を囮にして、信を誘い込む作戦をとります。信もこれに応じて、凱孟との一騎打ちを戦っています。この右側には、羌瘣隊が信の援護に回ろうとしているのですが、荀草は分厚い陣を敷いてこれを阻止します。そして、信と凱孟の一騎打ちが左側にずれ始めた時、いままで信の援護に回っていた羌瘣隊が反転、呉鳳明の本陣めがけて突撃を始めます。


これを見た荀草軍は、主将である信に殺到するのですが、ここで、貂の考えていた「秘策」が動き・・という展開です。


ここに至って、魏の呉鳳明本陣へは、紫伯を斃した「王賁」軍、満を持して動いた「録鳴未」軍、羌瘣率いる「飛信隊」の三軍が攻めかかります。


そして、魏本陣へ先についた玊鳳隊、録鳴未軍は「つぶれ役」として、魏軍内に道をつくり、そこを飛信隊の羌瘣が呉鳳明めがけて疾駆し・・という展開です。


残念ながら、ここで羌瘣が討ったのは鳳明の替え玉で、本物はかろうじて脱出するのですが、魏本陣の陥落は間違いなく、戦の趨勢は秦へと傾きます。


しかし、脱出した鳳明は、師匠でもある、火龍の一人・霊凰と合流し、逆転打を相談します。すでに魏軍は本陣の機能が失われ、統制のきかない孤軍となっているのですが。ここで一発逆転する策は、手持ちの兵のほとんどを出陣させて手薄になっている”騰”の本陣を急襲し、彼を討つことです。


まさにその命令を出そうという時、現れたのが、凱孟との戦いで魏の本陣襲撃に出遅れた「信」です。そして彼が矛を振り下ろそうとする時、鳳明は、師匠の霊凰を自分の身代わりとして刃の下に突き飛ばします。


魏にとっては、若手の呉鳳明が生き残ったほうが後々良いのでしょうが、なんとも後味の悪い結末ではありますね。


この著雍攻略戦は秦の勝利に終わるのですが、ここを中原侵攻の拠点とすることで秦がさらに強大化し、二百年続いた「戦国七雄」の均衡が崩れていく時代が到来した、ということ。


この流れは趙の李牧や楚の媧燐あたりは認識しているようで、秦とこの二国を軸に戦国末期の戦乱が動いていくようです。ただ、そこへ至る不安要素は、秦国内に内在していて、この巻の終盤部、趙大后が、

”山陽” ”著雍”を後宮勢力が

もらい受けようと思ってねぇ

と山陽・著雍を中心とする山陽地方の長官に「嫪毐」をすえるなど、秦国を内部から食い荒らすような動きが出てくるのですが、詳細は次回のレビューで。


レビュアーの一言>秦飛躍の原動力はZ世代の武将に注目


第37巻で、呉鳳明が、この魏軍へ攻めかかる秦軍の主力が、王賁や信、羌瘣といった「若造」たちであることを知り、秦では、これから中華の舵を握るであろう自分や、李牧、秦では桓騎といった世代のさらに次の世代が台頭し始めていることに驚くシーンが出てきます。


さらに第36巻でも、著雍二日目までの戦局をみると、秦の録鳴未軍は騰の本陣の支援にまわり、王賁、信の両軍は凱孟、紫伯におされ気味で、魏軍優勢に進んでいたのですが、それは、著雍攻略軍の大将である”騰”が戦闘の多くを王賁や信たちの若手に委ねていたことに原因があったといえます。王騎軍の同僚であった録鳴未は、いまこそ”騰”自らが打って出るべきだと進言するのですが、”騰”の真意は

これから秦の武威の一角を担うべき若き才能達が

傑物・呉鳳明に挑み

その力と名を中華に

響かせる戦いだととらえている

と主張していて、戦が劣勢の中でも、現時点で主力の世代が若い世代を育て、無理してもバトンタッチをしていこうという姿勢が、秦が中原を制覇していく原動力となったのかもしれません。

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