土方歳三は大山弥助と対決。原田左之助は上野に散る。 = 「ちるらん 新撰組鎮魂歌」27 ~28

2021年12月15日水曜日

ちるらん

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 幕末を彩る「新撰組」を、副長・土方歳三をメインキャストに、幕末の京都から戊辰戦争・函館戦争へと続く激動の時代を「ヤンキー漫画」テイストで描く「橋本エイジ・梅村真也「ちるらん 新撰組鎮魂歌」」のシリーズの第27弾から第28 弾。


前巻では、試衛館以来の同士である近藤勇と沖田総司と、近藤は刑死、沖田は病死という不本意な形で別離することとなった土方歳三だったのですが、今巻では、新選組の残ったメンバーとともに旧幕府軍の陸軍歩兵頭を務めていた大鳥圭介の率いる幕府伝習隊と合流して、新政府軍への反旗を翻してい姿が描かれます。


あらすじと注目ポイント


第27巻 土方は、宇都宮城攻防戦で薩摩軍を蹴散らす


第27巻の構成は


第百十一話 対抗勢力

第百十二話 宇都宮城

第百十三話 慕われる名将

第百十四話 千載一遇


となっていて、前巻の最後半で伝習隊の参謀に就任した土方は実戦経験のない、いわば頭でっかちの伝習隊の隊員たちを精兵へと生まれ変わらせます。今の栃木県の小山あたりで新政府軍に遭遇した伝習隊は、4度にわたり新政府軍を圧倒、大きな戦果をあげ、この勢いをかって、新政府に叛旗を翻した会津藩の支援に向かうことを決断します。


ただ大鳥圭介のたてた作戦は、一挙に会津に向かうのではなく、新政府につくか旧幕府側につくか帰趨の定まらない奥羽・越後の諸藩を旧幕府側になびかせるため、宇都宮城を陥とすというもので、土方たちは伝習隊を率いて宇都宮城攻略へ向かうこととなります。


この当時、宇都宮城は宇都宮藩主・戸田忠恕自ら600の城兵で守っているのですが、城攻めは守兵の10倍で囲まないと陥ちないというのが定石で、今回土方たちの率いた1000名の兵士では足りません。


しかし、土方は敵城兵の半数が城外に布陣していることに付け込んで、三段構えの城攻めを考案します。


しかし、相当の強兵でなければ、城内で押し包められ全滅するのが必至の作戦なのですが・・という展開で、ここで京都以来、戦慣れしている新選組の実力が如何なく発揮されることになりますね。


宇都宮城攻防戦は、まず城外で大鳥軍の先鋒隊が新政府軍に接触。乱戦の中、圧倒的に劣勢にみせかけ、攻めかかる新政府軍に突如反転し、新選組が反撃に出ます。そして、新選組は刀剣主体で、銃火器では優勢と思っている新政府軍を伏兵が銃撃。浮足立つところに一気に斬り込みをかけるという、鳥羽伏見の敗戦から学んだ新たな戦術で宇都宮城に突入し、一気に城を奪取してしまいます。


この土方の宇都宮城奪取に対して反撃に出たのが、新政府陸軍きっての名将である大山弥助と野津七次です。大山は、宇都宮城奪還ではなく大鳥圭介と土方歳三を斃すことを第一目的に、宇都宮城を徹底包囲し、弥助砲による大砲撃を加えます。


しかし、それに対して、反撃らしい反撃もないため、土方たち守勢を侮り、功をあげようとして大垣藩の部隊が抜け駆けの攻撃に奔ります。これに続いて薩摩の井上隊も追従するのですが、これは土方の思うつぼで・・という展開です。待ち伏せする土方たちは、大垣、薩摩・井上隊の指揮官を討ち、大混乱に陥れることに成功します。


ところが、ここで薩摩側の流れ弾が土方に当たり、負傷したとの報せが大山弥助のいる本隊へもたらされるのですが・・と展開していきます。


第28巻 原田左之助、上野山で新政府軍と激闘


第28巻の構成は


第百十五話 激突する獣と獣

第百十六話 名もなき花

第百十七話 闘う理由

第百十八話 不言実行


となっていて、宇都宮城攻防戦自体は、薩摩軍の誇る弥助砲による大火力によって新政府軍の再奪取間違いない情勢です。


ここで土方の作戦は、土方負傷の報せを聞いて、自ら最前線へと押し出してくる新政府軍の司令官・大山弥助を襲撃し、鳥羽の伏見の戰で斃れた、井上源三郎の敵討ちをすることです。


ここで大山弥助と土方と永倉、さらには土方に斬られ負傷した大山の救出に現れた薬丸示現流の遣い手で、薩摩神衛隊隊長の野津七次との大バトルが始まります。このバトルの行方は原書のほうでお楽しみくださいね。


そして、物語のほうは、土方たちに先行して会津に向かったまま行方不明となっている原田左之助の物語に移ります。


彼は永倉新八とともに新選組の別働隊である「靖兵隊」を組織して会津を目指していたのですが、途中、新政府軍の待ち伏せや不意打ちなど大村益次郎の仕掛ける新選組狩りにあい苦戦を余儀なくされています。部隊がどんどん削られていく中で、単独で新政府軍を食い止め、永倉たちを会津へ向かわせたのですが、自身は負傷し、武州・荒川のほとりに戦火をさけて避難している姉弟に助けられたというわけです。


彼らの父親は、北町奉行所の同心をしていたのですが、大政奉還後の混乱の中で、薩摩の益満休之助が扇動する浪士たちによって殺害されています。弟の小太郎は、父の仇を討つために、原田から剣術を教わるのですが、江戸の上野に立て籠もる彰義隊の討伐のために向かう新政府軍の中に、仇敵・益満がいることを聞きつけ、上野戦争に参加しようと駆けつけていきます。


弟のことを心配する姉の頼みをきいて、左之助も上野の山に立てこもる彰義隊のもとへ向かうのですが・・という展開です。


このシリーズでは、小太郎に仇を討たさせ、谷中での戦闘で新政府軍を圧倒したことで、彰義隊の残党が会津へ向かうことに成功したとされています。


レビュアーの一言


原田左之助が散ることになった上野山で彰義隊と新政府軍が戦った「上野戦争」は、新政府軍の参謀であった大村益次郎の兵略家としての声望を一挙に高めた戦として有名です。幕末の長州征伐ですでに長州軍の戦術を担当していた彼は、そのまま新政府軍の戦略を担当することになるのですが、上野戦争では佐賀藩のあアームストロング砲による集中砲撃などで彰義隊を壊滅状態に陥らせています。


ただ、この上野戦争で、薩摩軍の海江田信義を怒らせたことが、後の彼の暗殺につながったとされています。益次郎の性格の偏狭さが災いしたところですね。「大村益次郎」について詳しく知りたい方は、司馬遼太郎さんの「花神」がオススメです。

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