中世ヨーロッパの架空の王国・ルナリアの王女として生まれながら、故国ルナリアは隣国のロレンディアに攻め滅ぼされため、幼女の頃から身分を隠して亡命生活を送らざるを得なかった「マルグリット」を主人公としたヨーロピアンロマン・「亡国のマルグリット」シリーズの第1巻〜第2巻
ここでは、隣国の謀略によって併合されたルナリア王国の王女マルグリッドが、王族皆殺しからどうやって逃れて成長し、さらにロレンディアの王子・ルネとどこで知り合ったかが描かれます。
あらすじと注目ポイント
第1巻 亡国の王女マルグリットは、エルベ村の元騎士に救われ、女装した男子として成長する
冒頭ではルナリア王国を訪れていた隣国ロレンディアの使節が自軍の軍隊を引き入れ、王宮を制圧。
王族や近臣たちが次々斃されていく中、同じようにルレンディアに滅ぼされたルセニア国のエルベ村の周辺に主人公・マルグリッドが逃げ込むところからスタートします。
追っ手によって侍女・マリアンは惨殺され、彼女の命も危なくなるのですが、偶然居合わせたエルベ村のクリストフによって救われます。(彼は第1巻の後半で、ルレンディアに滅ぼされたセルニア国の元騎士で、国が滅ぼされたときにルレンディアに従うことをよしとせず、領地を返上の上、ここエルベで農業を営んでいることが明らかになります。
クリストフに助けられたマルグリッドは、彼の亡くなった息子・ニコラの名前を借りて、クリストフの元従者・ヤンに農業と剣を教わりながら成長していきます。ここらあたりは身分を隠して自らのルーツを探していくという物語のお決まり的な設定ではあります。
物語の展開的には、少年となったマルグリッド(ニコラ)は、盗賊らしきものに追われている金細工師見習いのルネ、ルネの乳兄弟・レオを匿うこととなります。まあ、怪我をしているレオを家に連れ帰って治療し、さらには治るまで止めてやるというクリストフの好意は「お気楽」すぎる感じもするのですが、物語の進行的にはやむを得ないかと。
ルネとレオがエルベ村周辺にやってきたのは旧ルセニア王国領に産する希少鉱物を探すため、ということなのですが、「ルレンディア」という言葉に妙に反応したりとなにか秘密を隠しているのは間違いないようです。
物語の後半では、成長して段々と女らしくなってくるマルグリット(ニコラ)をこれ以上、「男性」として村で生活させていくことが困難と考えたクリストフは、彼女を近くの都市「ラグノー」で酒場を営んでいる、亡くなった妻の友人「エステル」へ預けることを決断します。
マルグリッドにとっては第二の故郷や育ての親との別離となるのですが、身分を隠した亡命者としてはやむを得ないところでしょうか。
そしてラグノーでエステルの営む酒場で働くこととなったマルグリッドは「マギー」と名乗り、なれないウエイトレスとして働くのですが、ここで酒場で客にからまれているところでルネとレオに再会します。さらには、ルレンディアで幼い王子の摂政をして国の実権を握る「氷の王妃」とルナリアに使節としてやってきていたルビネス伯を見かけます。市場の噂では、ロレンディアに攻め込もうと計画していたリナリアを返り討ちした人物ということなのですが・・・という展開です。
第2巻 亡国の王女マルグリッドは、真珠の首飾りの偽物すり替え事件に巻き込まれる
第1巻の終わりでロレンディア王妃を襲ったルナリアの残党を逃がすため、彼の外套を着ていたためロレンディアの兵士に捕まったマルグリッド(マギ、ニコロ)だったのですが、
王妃の近くにいた王族らしい人物に救われます。その正体はマルグリッドもよく知っている彼で・・という展開で、これから物語はルナリアとロレンディアの国同士の関わりが大きく関係してくるのだろうと予測させます。
王妃を襲った残党は、ルネが師事している金細工の師匠宅に匿われることになるのですが、
その詳細は原書のほうで。
中盤では都市の領主館で開かれる仮装パーティーに潜入した三人(ルネ、レオ、マルグリッド)なのですが、ここで旧ルナリア王妃が伝承していた真珠の首飾りを見かけたり、ロレンディア王妃とリビニス伯の密会場面に出くわし、マルグリッドとルネは激しく動揺することになります。
中盤からはこの仮装パーティで見つけた「真珠の首飾り」を中心に展開します。数日後に開催されるパーティで王妃が身につけるということで、この首飾りほかいくつかの宝飾品クリーニングと修繕の注文が、ルネの金細工の師匠「ジョルジョ・プレナス」に入ります。
注文主は王妃付きの侍女頭のジャン=マリー。ここまでは不審なことはないのですが、預けられた首飾りが偽物ではないかとマルグリッドとプレナスが疑問を抱いていたところ、修繕した首飾りを持参したプレナスが首飾りをすり替えたとして連行されてしまいます。
さらにルネとレオも共犯の疑いで勾留されてしまいます。マルグリッドは彼らの様子を探るため、領主館に潜入するのですが、そこで新入りの侍女と間違われてしまい、事件の首謀者であるジャン=マリーの隠蔽工作の片棒を担がされてしまいます。
しかし、このことでリビニス伯と対立するサフィロス伯の陰謀と、真珠の首飾りを盗もうとするラグノーの義賊「怪盗ジルベール」の企みに関係してします。
そしてこのことがルナリアのロレンディア併合の真相とルナリア王国内の裏切り者のあぶり出しが明らかになるのですが、詳細は原書で。
レビュアーのひとこと
物語のモデル地は、ヨーロッパが想定され、大国による征服活動が行われたことを考えるマルグリッドやルネなどといった名前や衣装や城の様子からフランス北部あたりというあたりかなという感じがしているのですが、後巻でロレンディア王国がオリエントのイスラム国らしい大国の近くにあるような感じなので、案外、ビザンティン帝国あたりがモデルかもしれません。となる、ルナリアは今のルーマニア、セルニアはセルビアあたりが仮定されるのでしょうか。
この地域の中世から近世にかけての政治情勢は日本人にはなかなか馴染みのなく、コミックでも「アンナ・コムネナ」ぐらいしか思いつかいのが正直なところで、異世界史としては、こういう正史をいくつかモデルにして、フィクションを突っ込める最適のところかもしれません。
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